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七生養護学校「こころとからだの学習」裁判、東京高裁も都議と都教委の違法性を認める
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本年9月16日、東京高等裁判所において、七生養護学校「こころとからだの学習」裁判について、原告教員らが勝訴した地裁判決(東京地裁民事24部2009年3月12日判決)を支持する判決が出され、七生養護学校の教育に介入した都議の行為とこれを黙認し厳重注意処分を発した都教委の行為を違法として損害賠償を命じた原審を維持する判決を言い渡しました。
この事件は、2003年7月に日野市の都立七生養護学校において行われていた具体的な教育実践に対して、政治家である都議らが一方的に「不適切」であると決めつけて教育現場に直接介入し、これを容認した東京都教育委員会(都教委)も教員らを厳重注意とするなどして、その教育を破壊したというものです。
今回の控訴審判決は、原判決を踏襲し、①都議らが、政治的な主義・信条に基づき、本件養護学校の性教育に介入・干渉したことを、本件養護学校における教育の自主性を阻害する行為として、旧教育基本法10条1項の「不当な支配」にあたると認定し、②都教委はこのような「不当な支配」から教員を保護する義務があったにもかかわらずこれを怠った保護義務違反を認め、③厳重注意は一種の制裁的行為であると認定し、教育内容を理由として制裁的取扱いをするには事前の研修や助言・指導を行うなど慎重な手続きを行うべきものとしました。また、本判決は、教育委員会の権限について「教員の創意工夫の余地を奪うような細目にまでわたる指示命令等を行うことまではゆるされない」と一定の歯止めをかけ、学習指導要領についても「その一言一句が拘束力すなわち法規としての効力を有するということは困難」とし、「抽象的ないし多義的で様々な異なる解釈や多様な実践がいずれも成り立ちうるような部分、指導の例を挙げるにとどまる部分等は」、「教育を実践する者の広い裁量に委ねられている」と述べ、本件性教育についていずれも学習指導要領違反はないと認定しました。この判断は、教員の学校現場における自主性を重視し、都議及び都教委による教育介入の違法性を再び認定した判断として高く評価できます。
2003年7月の七生養護学校の教育への政治介入事件は、同学校の関係者のみならず、全国の教育関係者に衝撃を与えました。そして、この間、東京都や大阪府など一部自治体で、教員に対する教育基本法の理念に反するような管理が強められ、教員から子どもと向き合う時間を奪い、創意工夫をした教育実践の余地が狭められていることは、厳しく批判されるべきことです。私たちは、都議や都教委が今回の判決を真摯に受け止め、今後このような介入を二度と行わないよう強く求めます。本件は、引き続き最高裁判所での闘いが続きますので、これまでのみなさんのご支援に感謝するとともに、引き続きご支援をいただけるようあらためてお願い申し上げます。
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