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水野国賠訴訟判決と国の不当な控訴
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1 水野国賠事件とは
自転車に乗った被害者の後ろから車をぶつけ死亡させてしまった水野憲一さんは、東京地裁八王子支部の刑事裁判で有罪となり、東京高裁に控訴しました。憲一さんは、青年時代から精神科に通院し、抑うつ状態等と診断され、試行錯誤の上、十数年間6種類の投薬を受けて社会生活を送れるようになっていました。ところが02年7月10日の高裁での初公判のために、6月26日に八王子拘置支所から東京拘置所に移された途端に、東京拘置所は、憲一さんの投薬継続の訴えを無視して、従来の投薬を中止しました。そのため、憲一さんは、不眠、不安な状態になり、「薬がほしい。お母さんありがとう。つかれた。」というメモを看守に渡して、6月30日未明、独房内で雑巾(29㎝×42㎝)を飲み込み窒息死しました(当時45歳)。
えん罪をはらす目的で控訴した憲一さんには、抗うつ剤等の投薬制限による体調の悪化以外に「自殺」の理由がありません。患者の権利、裁判を受ける権利を否定した東京拘置所の責任を明らかにし、再発を防止するために、憲一さんのお母さんが、03年5月に国家賠償訴訟と法務省人権擁護局への人権救済申立をしました。
2 国の責任を全面的に認めた東京地裁判決
原告は、裁判において、憲一さんに対する投薬中止が極めて危険な行為であることを明らかにする著明な精神科医等3名の医師の意見書を提出し、支援の個人署名も1万名以上集めました。
05年1月31日に東京地裁は、憲一さんの自殺について、東京拘置所の責任(①命綱の投薬を憲一さんの訴えを無視して中止したこと、②自殺の危険を認識し、同じ形状の半タオルを撤去しながら雑巾を放置して自殺防止措置を怠ったこと、③呼吸や脈はあるが意識のない憲一さんを発見しながら、気道確保や人工呼吸の救急措置を怠ったこと)を全面的に認める判決を言い渡しました。
国の責任を全面的に認めた判決に対し、国は控訴しました。東京高裁の審理が6月1日から始まります。
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