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シンポジウム「子どもの貧困と向き合う〜多摩地域での取り組みを通じて〜」が開催されました

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10月30日、シンポジウム「子どもの貧困と向き合う〜多摩地域での取り組みを通じて〜」が多摩弁護士会館で開催されました。これは日弁連第53回人権擁護大会での分科会「子どもの貧困〜すべての子どもの生存と発達を保障するために」を受け、多摩地域でも「子どもの貧困」に取り組む各分野の専門家と問題意識を共有してネットワークを構築しようと、弁護士会多摩支部の子どもの権利に関する委員会が中心に企画したものです。
シンポジウム当日は市民や関係者など60名を超える参加があり、熱の入った報告と議論が交わされました。第1部の岩田美香教授(法政大学現代福祉学部)による基調講演では、「貧困層は社会的価値観を押しつけられバッシングを受けるがゆえに、相互批判を行うことで自身を支えようとする傾向もあり、そのような状況で、子どもと向き合う生活の『ゆとり』が失われている」と指摘がありました。第2部では多摩地域で活動する4名の方をパネラーに迎え、各分野で直面する「子どもの貧困」の実態と課題をテーマにパネルディスカッションが行われました。立川相互歯科所長岩下明夫氏からは、子どもの歯と家庭環境の関係について、全国的に子どもの虫歯が大幅に減少しているのに、生活保護受給・ひとり親・若年親・厳しい労働環境など、経済事情を抱える家庭の子ども達の歯が特に重症化する傾向があるとの報告があり、今後は親への継続的な受診援助が急務であると指摘がありました。この話を受け、ひとり親家庭ヘルパー派遣事業(NPO法人くじら雲クジラハウス・国立市)の遠藤良子氏からは、ヘルパーが子どもを医者に連れていく等の援助について紹介があり、断絶している親子関係を繋ぎ、ひとり親家庭と地域とを繋ぐという「つなぎ役」が必要で、ハンディを抱える一人親家庭が誇りをもって生きられる地域社会を作ることが本当の支援であると述べられました。続いて、自立援助ホームあすなろ荘の職員髙橋亜美氏からは、親の虐待やネグレクト等の事情で家庭にいられない子どもら(15〜20歳)が入所する自立援助ホームの厳しい現状や、体や心に大きな傷を受けた子どもらが成長してからその影響が顕在化したときに何ら援助がないことの問題性について指摘がありました。「子どもは『社会の子ども』」という視点で私たちに何ができるのかを考えてほしいと熱い思いを語られたのが印象的でした。最後に、西東京朝鮮第一初中級学校長の慎基成氏から、外国人学校ゆえの公的援助の乏しさ、教育費の重い負担、税制上の不遇などの問題が生徒や親に重くのしかかる実態の報告がなされ、社会による差別を意識させられざるを得ない子どもの心の問題、それこそが「貧困」ではないかとの指摘がありました。社会全体の問題として教育の機会均等の意味をあらためて考えさせられるお話でした。
本シンポジウムを通じて、子どもの貧困が、短期的な経済的不便を子どもに強いるだけでなく、健康や教育、精神面など子どもの成長過程のあらゆる側面に決定的な悪影響を及ぼす根の深い問題であることが改めて浮き彫りになりました。このような事態を少しでも改善するには、一機関・一個人の支援だけでは限界があり、各専門家や地域・団体が協力できるネットワークを構築し、継続的で密接な支援が不可欠です。様々な場面で子どもの法律問題に関わる私たち弁護士こそが、その役割を中心となって担う必要があることを実感させられる有意義なシンポジウムでした。

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