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薬害イレッサ訴訟−東京地裁が国と企業に賠償を命じる
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抗がん剤(イレッサ)の副作用によって亡くなった被害者の遺族らが、国と企業を被告として提訴していた薬害イレッサ訴訟について、本年3月23日、東京地方裁判所は、両被告に対し、損害賠償を命じる判決を言い渡しました。
イレッサは、英国に本社をおくアストラゼネカ社が製造販売する肺がん用の抗がん剤です。2002年7月、申請からわずか5ヶ月という異例のスピードで、日本が世界で最初に承認しました。承認前から「夢の新薬」等と宣伝されましたが、昨年9月までに副作用である間質性肺炎によって819名もの方が亡くなっています。特に市販直後に死亡者が集中しており、承認から半年で180人、1年で294人の方が亡くなっています。これほどの副作用死を出した薬害事件は過去にありません。
このような被害が発生したのは、承認前に国内外の臨床試験等によって、致死的な間質性肺炎が発症する可能性が示されていたにもかかわらず、添付文書による警告を十分に行わず、かえって副作用が少ない抗がん剤という宣伝を行ったからです。
東京地裁判決は、この点を捉え、イレッサの添付文書による情報提供の不十分さは、製造物責任法上の欠陥に該当するとして、アストラゼネカ社の責任を認めました。薬害集団訴訟において製造物責任法に基づく責任が認められたのは初めてのことです。また、国に対しても、添付文書に関する行政指導を十分に行わなかった規制権限の不行使は違法であるとして、国家賠償責任を求めました。医薬品の安全確保における国の責務の重さを指摘した本判決は、薬事行政のあり方にも影響を与える意義ある判決ということができます。
東京地裁判決に先立つ本年2月25日には、大阪地方裁判所が、同様の訴訟について、やはりアストラゼネカ社の製造物責任を認めています。また、国家賠償責任までは認めませんでしたが、行政指導の不十分さをやはり指摘しています。
原告・弁護団は、被害者に対する謝罪と償いだけでなく、教訓を薬害防止やがん医療に生かすこと、抗がん剤による副作用死救済制度を創設すること等を求めています。
控訴により事件は高等裁判所に移りましたが、国とアストラゼネカ社は、両地裁の判決を真摯に受け止め、裁判所の判断を待つことなく早期に、原告らとの協議の席につき、薬害イレッサ訴訟を全面的に解決するべきです。
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