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都留文科大学の退職手当減額は違法!− 退職手当全額と慰謝料の支払いを命じた東京地裁立川支部判決

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 公立大学法人都留文科大学による教職員の退職手当の一方的な切り下げに対し、6名の退職教員が、一方的な退職手当の切り下げは違法であるとして切り下げ前の退職手当の支払いと慰謝料の支払を求めた裁判で、本年4月16日、教員の請求を認める画期的な勝訴判決を得ました(東京地方裁判所立川支部)。

 今回、裁判所が違法と断じた退職手当の切り下げは、退職手当金を算出する際に「100分の104」とされていた「調整率」を「100分の98」に引き下げ、その後も段階的に「100分の87」まで引き下げるというものでした。大学は、この「調整率」の引き下げを強行するために、退職手当規程に「都留市条例を準用する」旨の規定を、教職員や教職員組合に説明することなく無断で挿入するという手法をとりました。しかも大学は、3月29日までに退職すれば引き下げ前の「調整率」を適用するが、年度末(3月31日)まで勤務すれば引き下げた「調整率」を適用するとしました。退職手当の引き下げに納得はできないが教員の職務を全うしたいと考えた6名の退職教員は、年度末まで大学に勤めました。しかしその結果退職手当が減額され、定年退職した教員の中には180万円以上減額された方もいました。
 大学は、国家公務員や山梨県職員、都留市職員等の公務員が同様の引き下げを行ったことを理由に、退職手当の引き下げを強行しました。しかし、大学は2009年4月1日に都留市から独立した経営を行う目的で公立大学法人となり、教職員は非公務員となりました。公務員や都留市職員の退職手当が引き下げられたからといって、民間の労働者である大学教職員の退職手当を引き下げる理由はありません。また、大学は法人化後も毎年多額の利益を計上しており、約7億円もの退職手当基金も存在したことから、退職手当を引き下げる経営上の必要性も全くありませんでした。まして、退職手当規程に「都留市条例を準用する」旨の規定を、教職員や教職員組合に一切説明することなく無断で挿入するなど、あってはならないことです。 

 今回の判決は、このような退職手当規程の変更は、労働契約法や労働基準法の定める手続きを何ら経ることなく行なわれたものであるから、都留市条例を準用する旨の規定はそもそも退職手当規程に存在するものではなく、効力も有しないと判断し、切下げられた退職手当の全額を支払うよう大学に命じました。
 また、大学が、年度末(3月31日)に退職を予定していた教員に対して、年度末よりも前に自己都合退職するか、あるいは年度末に退職して退職手当引き下げの不利益を受けるかのいずれかを迫ったことは、意思決定の自由を侵害する不法行為であると断じました。そして、2013年3月31日に定年退職した原告3名に対して各5万円、同日に自己都合退職した原告3名に対して各1万円の慰謝料を支払うことを大学に命じました。

 2012年11月に国家公務員の退職手当を引き下げる法律が成立して翌年1月から施行されたことをきっかけに、全国の国公立大学法人において同種の事件が起こっています。本件は数少ない勝訴例として意義のあるものです。
 しかし、この判決に対して大学は控訴し、今後東京高裁での控訴審がはじまります。大学の違法な退職手当の切下げを許さないために、引き続きのご支援をよろしくお願いします。

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