取扱事件
土地建物を巡るトラブル
不動産取引について
不動産を買う場合、不動産登記簿謄本を取り寄せて対象物件の所有権を確認することが大切です。名義人が亡くなっている場合、相続人の一部に名義変更されていれば、その人と契約できますが、そうでなければ相続人全員との契約になります。高齢者の場合には不動産を売買できる判断能力の確認も必要です。また、必ず現地を確認しましょう。対象物件を現在使っている人がいる場合、立ち退きで問題が生じないかを確認することは重要です。賃貸借で収益を得る目的なら賃貸借契約書や敷金などの確認も必要です。公図、建築図面、地積測量図、隣地との境界のチェックも重要です。建物を新たに建てる場合には建築基準法などの制限にも注意しましょう。
不動産を売る場合、売主には、所有権を移転し、登記を移す義務や引渡義務があります。現状有姿で引き渡すのか、宅地造成や建物の修繕、解体が必要か、その費用をだれが負担するのか確認する必要もあります。対象物件の瑕疵について責任を問われる場合もあるので予め重要事項は説明しておきましょう。
不動産の取引をする際に不安なことがある方や、取引相手とのトラブルが生じてしまった方は、早めに弁護士にご相談下さい。
欠陥住宅
建築してもらった建物に欠陥があり、補修する必要が生じる場合があります。例えば、居住用建物であれば、雨漏りするとか、その他居住用に使用できる状態でない場合には、当然にその補修、あるいは、その補修に代えて損害賠償することができます。また、建物の仕様や設備等が注文どおりに建築・施工されていなければ、設計図や見積りなどの記載を確認し、問題のある施工については補修や損害賠償を請求できることになります。
トラブルにならないためには、予め建築や売買に関する契約内容や図面などの検討、施工状況のチェックなどが大切ですが、実際に、欠陥工事をされてしまったら、具体的な問題箇所を撮影するなど記録に残すとともに、施工業者に対し、現場で問題点を指摘して、補修や賠償を求めることになります。
施工業者が応じてくれない場合には、住宅紛争審査会や弁護士会紛争解決センター、あるいは簡易裁判所の民事調停等を申し立て、話し合い解決を求めることになります。しかし、相手方が手続に応じないとか、協議を尽くしたが話し合いがまとまらない場合、最終的な解決手続は民事訴訟となります。
建築に関する紛争は千差万別ですし、工事箇所によっては請求できる期間が限られている場合があります。相手方に法的な責任が追求できるかどうか、どのような方法が適切かを含めて、弁護士にご相談ください。
賃貸借(賃料、明渡し)
部屋や家を借りている場合、大家や管理会社とトラブルになることも珍しくありません。
例えば、何の問題もなく部屋を使用していたにもかかわらず、突然明け渡しを求められることがあります。通常の建物賃貸借契約の場合、賃借人に落ち度がなければ、たとえ契約期間満了時であっても賃貸借契約は原則として継続するものとして扱われ、賃貸人は、特別の事情がなければ契約を終了させることはできません。契約期間が終了するのだから明け渡すのが当然だと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、そのようなことはありません(なお、「定期建物賃貸借契約」といって、期間満了をもって原則契約終了となる契約形態もあります。)。仮に最終的に明け渡すことになったとしても、賃借人に落ち度がなければ、一般的には賃貸人に対して立退料を求めることができます。賃貸借契約をめぐるトラブルとしては、他にも、突然賃料の増額を求められたり、多額の更新料の支払いを求められたりといったこともあります。本来請求できないはずのものが請求されている場合もあるので、注意が必要です。
弁護士を代理人に立てて交渉することで、賃借人に有利に解決できる場面も多々ありますので、トラブルになったときは、早めに弁護士にご相談ください。
境界確定
境界には、いろいろな種類があります。隣の土地との所有権の境である「所有権界」、土地の使用範囲を意味する「占有界」、一筆の土地と隣接する隣の土地との地番境としての公法上の境界である「筆界」等があります。
「所有権界」は、当事者の合意で決められますが、「筆界」は当事者の合意で変更することはできません。「所有権界」と「筆界」は、通常は一致しますが、例えば、隣の塀が自分の土地に入り込んでいる状態が長く続き、隣に取り込まれている土地部分に取得時効が成立してしまった場合には、「所有権界」と「筆界」が異なることになります。自分の土地を時効により失わないように、境界をきちんと確認しておく必要があります。また、土地を売却する際には、隣の方に立ち会ってもらい境界の確認をするのが通常です。境界を示す境界石等がなかったり、移動している疑いがある場合には、境界の専門家である土地家屋調査士に相談する必要があります。
境界に争いがある場合には、法務局での「筆界特定制度」を利用したり、裁判所で「境界確定訴訟」をしなければならない場合がありますので、弁護士にご相談ください。
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