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労災事件、高裁で15年目の逆転勝訴
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1、真夏の冷蔵庫内で急性心不全
運送会社に勤務する被災者Y氏(当時55歳、高血圧で治療中)が、平成元年真夏の午後に冷蔵車で乳製品を東京都昭島市から埼玉県越谷市の冷蔵倉庫まで約3時間の長距離運転後、外気温約28度から冷蔵倉庫に結合した約5度の冷蔵車内に入り乳製品の荷卸し作業中に、急性心不全で倒れて亡くなられました。遺族の妻から当事務所の弁護士3名が依頼を受け、労災の申請を立川労働基準監督署に平成元年9月に請求したところ、平成2年8月に持病が原因で業務上の災害ではないとされたため、平成2年10月に東京労働者災害補償保険審査官に審査請求しました。同年8年8月に審査請求が棄却されたために、同年10月に労働保険審査会に再審査請求をしましたが、平成11年1月に再審査請求も棄却されたため、平成11年4月に東京地方裁判所に労災保険の不支給決定の取り消しを求める行政訴訟を提起しましたが、平成15年7月に原告の遺族の請求は棄却されました。そのため、東京高等裁判所に同月控訴し、平成16年12月16日に原告の遺族の請求を認める逆転勝訴判決がなされました。15年間のがんばりが、ようやく実を結んだ瞬間でした。
2、代理人弁護士の体を張った実験で逆転勝訴
弁護団は、高血圧で治療中のY氏の死亡は、長距離運転後に寒暖差の激しい労働環境下で、重労働を行った結果、急激な血圧の上昇を招き、急性心不全を発症して死亡したと主張しました。この主張を明らかにするために、弁護団の中で、Y氏の年齢に近く、Y氏と同じ主治医から高血圧の治療を受けていたH弁護士が、同じ気象条件下で同じ作業を行って血圧の上昇を測定する実験を医師の立ち会いの下で行った結果、顔面が蒼白となり、医師からストップが掛けられるほどに血圧が急上昇しました。さらに、比較実験として同じ作業を常温下で行う実験をしましたが、血圧の上昇はあまりなく、寒暖の差が20度以上もある中での作業が、高血圧患者にとっては、極めて危険な作業であることを立証することができました。高裁判決は、この実証的な実験結果を重視して、長距離運転後の寒暖差の激しい中での作業により、Y氏の急性心不全が発症したものであることを認めたものです。
この事件は、新聞に、「弁護士 体張って労災立証」と報道されました。
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